miScript PCR Controls
ヒト、マウス、ラット、イヌのmiRNA定量におけるリアルタイムPCR結果を標準化
ヒト、マウス、ラット、イヌのmiRNA定量におけるリアルタイムPCR結果を標準化
リアルタイムPCRにおいて正確で再現性の高いmiRNA定量結果を得るためには、適切な内在性リファレンスRNAを用いてターゲットmiRNAの発現量を標準化することが必要です。これは相対定量として知られています。miScript PCR Control は、miScript PCR System を用いたmiRNA 定量実験においてリアルタイムPCR 結果を標準化するプライマーです。miScript PCR Control は、5種類のsnoRNA(SNORD61、SNORD68、SNORD72、SNORD95、SNORD96A)および1種類のsnRNA RNU6B(RNU6-2)が入手可能です。これらのコントロールは、ヒト、マウス、ラット、イヌの配列相同性を考慮に入れてデザインされているので、同じコントロールを4種類の生物種すべてで使用できます。これらのコントロールはGeneGlobeポータルサイトで個別に注文できます。
様々な細胞や組織でのターゲットncRNAの増幅効率と発現レベルを測定するために、様々なncRNA用にデザインされたmiScript Primer Assayが検証されました。ヒト、マウス、ラット、イヌで共通して使用可能なmiScript PCR Controlをデザインするために、これら4種類の生物種のncRNA配列の保存性についても調べました。6種類のncRNA用miScript Primer AssayがmiScript PCR Controlとして選ばれました。これらは次の基準を満たしています:
リアルタイムPCR 解析で正確な結果を高い再現性で得るために、ターゲットmiRNA の量を適切な内因性リファレンスRNA の量で標準化することが必要です。これは相対定量法として知られ、不正確な定量を引き起こす要因を較正する重要なコントロールです。これらの要因には、添加したRNA量の変動、RNA分解またはサンプル中に阻害物質が存在する可能性、サンプル取り扱いの差異などが含まれます。また、標準化により、別の実験あるいはサンプルから得られた結果を直接比較することも可能です。
miRNAのリアルタイムPCR定量データを標準化するために使用する内因性リファレンスRNAは次のような特長を備えているのが理想です:
miScript PCR Controls は上記の基準に合致し、 miScript PCR System を用いたヒト、マウス、ラット、イヌでのmiRNA 定量実験において ΔΔCT を用いた相対的な定量を実現します。
QIAGENは、snoRNAやsnRNAなどのncRNAをターゲットにした様々なmiScript Primer Assayをお届けしています。QIAGEN R&Dは、様々なncRNAに対するこれらmiScript Primer Assayのパネルを体系的にテストし、5種類のsnoRNAおよび1種類のsnRNA用に6種類のmiScript Control を選びました(表 "miScript PCR Control")。これらのControlは全てのmiScript miRNA PCR Arrayにも含まれています(図 " miScript miRNA PCR Arrayレイアウト:96ウェルプレート")。
miScript PCR Control 名 | ncRNA公称名 | ncRNA別名 | ncRNAタイプ | ヒト、マウス、ラット、イヌで発現 |
---|---|---|---|---|
Hs_SNORD61_1 miScript Primer Assay | SNORD61 | snoRNA | Yes | |
Hs_SNORD68_1 miScript Primer Assay | SNORD68 | snoRNA | Yes | |
Hs_SNORD72_1 miScript Primer Assay | SNORD72 | snoRNA | Yes | |
Hs_SNORD95_1 miScript Primer Assay | SNORD95 | snoRNA | Yes | |
Hs_SNORD96A_1 miScript Primer Assay | SNORD96A | snoRNA | Yes | |
Hs_RNU6-2_1 miScript Primer Assay | RNU6-2 | RNU6B | snRNA | Yes |
重要事項:miScript II RT Kitには2種類のバッファー、miScript HiFlex BufferとmiScript HiSpec Bufferが入っています。以前に入手可能であった以下のmiScript PCR Controlは、miScript HiSpec Bufferを用いて調製したcDNAには使用できません:
Hs_RNU1A_1 miScript Primer Assay
Hs_RNU5A_1 miScript Primer Assay
Hs_SNORD25_1 miScript Primer Assay
Hs_SCARNA17_1 miScript Primer Assay
Hs_SNORA73A_1 miScript Primer Assay
これらのmiScript PCR Controlをご使用になる場合は、必ずmiScript HiFlex BufferでcDNAを調製してください。
miScript HiSpec BufferあるいはmiScript HiFlex Bufferを用いて調製したcDNAに関しては、上の表にある最新のmiScript PCR Controlをご使用になることを推奨します。
miRNA定量実験のために適切なmiScript PCR Control を選ぶことは、mRNA発現解析の標準化のためにハウスキーピング遺伝子を選ぶことに類似しています。各サンプルタイプあるいは処理ごとに、miScript PCR Controlが標的にするncRNAが実験条件下で変動しないことを検証する必要があります。さらにncRNAは一定の発現レベルを示し、ターゲットmiRNAに類似した発現レベルをもつmiScript PCR Controlを選ばなければなりません。miScript PCR ControlはGeneGlobeポータルサイトから個別に注文できます。さらに、これらは全てのmiScript miRNA PCR ArrayおよびmiScript miRNA QC PCR Arrayに入っています。
miScript PCR System を用いる場合、ΔΔCT法を相対定量として通常使用します。この相対的な方法は、正常サンプルおよび実験サンプルで得られる CT値の差の比較に基づいています。目的のmiRNA用プライマー (miScript Primer Assay) を用いて行なったリアルタイムPCRとsnoRNAまたはsnRNAを検出するmiScript PCR Control を用いた反応を並行して行ないます。miScript PCR Control を用いて得られたCT(threshold cycle)値を下のようにデータの標準化に用います。
まず各サンプルのCT (threshold cycle) 値を求めます。次に ΔCT値を計算します。ΔCT 値は、ターゲットmiRNAのCT値と、内因性リファレンスRNAのCT値との差を表わしています。
ΔCT = CT (ターゲットmiRNA) - CT (内因性リファレンスncRNA)
次にΔΔCT 値とターゲットの標準化された発現レベルを計算します:
ΔΔCT = ΔCT (サンプル [疾病細胞など]) - ΔCT(キャリブレーター [正常細胞など])
サンプル中のターゲットmiRNA遺伝子の標準化された発現レベル = 2-ΔΔCT
最後にキャリブレーターの標準化された発現レベルを100%にセットします:
発現の変化 = (サンプル中のターゲットmiRNAの標準化された遺伝子発現レベル)% - 100%
miScript miRNA PCR Arrayデータ解析ツールは、相対定量の∆∆CT 法による定量およびコントロールアッセイの解釈を自動的に行ないます。結果は、表、スキャッタープロット、三次元プロファイル、およびボルケーノプロット(リプリケートを行なった場合)で表示されます。無料の解析ツールはmiScript miRNA PCR Arrayごとに個々に準備されており、ウェブベースあるいはExcelフォーマットで使用可能です。
miRNA定量およびプロファイリング